映画は社会変革にどう貢献できるのか、将基面貴巳教授とともに考える講座
世の中には解決すべき「社会問題」が山積しています。シバイバは、その山積している「社会問題」を「映画やドラマや小説や漫画」などのエンタメ作品にすることで、少しずつでもその「社会問題」を解決する方向に社会を進めることができたらなと思っています。
しかし、そんなことを言っておきながら、なんなんですが、そもそも「社会問題」を扱った「映画やドラマ…」を作ることによって、本当に社会はその「社会問題」を解決する方向に進むんでしょうか?
というような疑問に対しては「社会に対する影響は作品ごとに様々である」と答えるしかないと考えています。
たとえば、チョン・ジュリ監督の「あしたの少女」(原題:Next Sohee)のように、映画が国会を動かして「新しい法律が実際に作られる」ような場合もあれば、うっすらと視聴者や読者の深層心理に何かを残すことで、時間をかけてちょっとずつ社会を良い方向に事態を変えていくような場合もあるでしょうし、「社会問題」を描いてはいるものの、その描き方が適切ではなく、視聴者や読者に誤解や間違えた知識を与え、逆に問題を悪化させてしまう場合もあるでしょう。(参考:本作公開後に国会本会議を通過した「次のソヒ防止法」。映画が世論を動かす)
つまり、「社会問題」を作品の中に取り入れたからと言って、あたりまえですが、100%その「社会問題」が解決するわけではなくて、「影響は作品ごとに様々である」わけです。
とは言え、「作ってみなければどのような影響があるかはわからない」というのは、「薬」で言えば「飲んでみなきゃ効果はわからない」と言うようなことと同じで、処方するにはあまりにも「雑」すぎます。「100%こうなる」と明確にわからないまでも「ここをこう表現すれば、視聴者には登場人物の思いがより強く伝わる」とか、「主人公をこういう立場の人として描いているから、視聴者は最後の事件をこう捉える」と言うぐらいの、法則性は手に入れてから創作を行うべきだし、作品全体としても「どうすれば、より影響力のある作品を作り得るのか」ぐらいのことは分かっていたいし、ある程度の法則性は手に入れておきたいものです。
ということで、本講座では、ニュージーランド・オタゴ大学の将基面貴巳(しょうぎめん・たかし)教授のご指導のもと、実際に6本の「社会派映画」を見てもらい、それぞれの映画が、どのような「社会問題」を描こうとしているのか、作り手は社会をどう変えていきたいと考えているのかなどの考察をし、その作り手の「社会をこうしたい」という意図の達成のために、その映画で取られている表現方法(たとえばキャラクター造形や物語の展開や構成など)はほんとうに適切であったのか、もっとこうすればよかったんじゃないか、というようなことまでを、将基面教授とともに参加者みんなで議論していき、「どうすれば観客を魅了し、社会変革に導ける作品になり得るのか」ということのヒントを手に入れていきたいと思っています。
ちなみに、本講座は創作論講座ではありますが、シナリオの書き方教室ではありません。「特定の社会問題を改善していくための映画」という「特殊な意図を持った映画」における作劇方法や表現方法を吟味し、参加者それぞれのヒントをつかむ場所にしたいと考えてますので、講師を、常日頃より法学・政治学・哲学の観点から「物語」を分析しておられるニュージーランド・オタゴ大学の将基面貴巳教授にお願いするのが一番であると判断をしました。
将基面貴巳教授は「従順さのどこがいけないのか」や「愛国の教科書」など沢山の一般向けの啓蒙書を著わしておられます。昨年末には「反逆罪」という新著も出版されました。いずれも、西洋の法学・政治学・哲学の歴史的展開と発展を踏まえた普遍的な論考を、一般人に向けてわかりやすくされています。特別な専門知識のない者にも高度な理論をわかるように解説される達人です。また、ご著作の中では、たくさんの映画や文学、戯曲などに言及があり、いわゆるエンターテイメント作品の、社会変革への影響と有効性を常に意識しておられる方でもあり、今回の講座の講師として、将基面教授以上にふさわしい人は居ないと考え、お願いをしました。
なので、映画やドラマや演劇や小説や漫画などで社会をより良くするということに興味がありましたら、ぜひともこの講座を受けてみてください。たくさんの発見があることと思います。授業が終了した後、希望の方には作品創作を行ってもらいます。映画やドラマ、演劇、小説、漫画…ジャンルは何でもありなので、やりたくなったらチャレンジしてみてください。
→ 本講座の目的と手順について(将基面教授によるご説明)
【参加の条件】
・あらゆる人の人権を擁護する側につくことを約束できる人。
・誰もがハラスメントをする側にも、される側にもなる可能性があることを理解し、自らがハラスメントを行わないように常に注意していること。
・自分の行動や言動が相手に不快な思いをさせる可能性があることを理解しており、自らの行動や言動が他人を不快にさせていないかに関して注意深くあること。
・本講座は日本語で行われますので、日本語を聞き取り、日本語を話し、日本語でコミュニケーションをとる能力を持っていること。
・他人を自分と同じひとりの人間と認め、その個性とアイディアを尊重すること。
・他人のアイディアを盗まないこと。他人のアイディアを利用する場合はシバイバ事務局を通して本人の了解を得、作品などに使用する場合は、作品の中に、その旨を明記すること。
・経験や年齢、ジェンダー、国籍は問いません。
・参加希望者が未成年であった場合、保護者の了承が必要です。
・暴力団員、暴力団準構成員、これらと密接な関係を有する者、その他の反社会的勢力でないこと。
・そのほか、本講座の受講を希望される方は、必ず以下の規約をご確認ください。受講手続きを行うことをもって、本規約に同意したものとみなします。
シバイバ講座利用規約はこちら
【担当講師】
将基面貴巳(ニュージーランド・オタゴ大学教授)
【略歴】
しょうぎめんたかし、西洋史学者、ニュージーランド・オタゴ大学教授
神奈川県横浜市生まれ。1986年駒場東邦高等学校卒業。1991年慶応義塾大学法学部政治学科卒業。1998年シェフィールド大学大学院歴史学博士課程修了。ケンブリッジ大学クレア・ホール・リサーチフェロー、イギリス学士院中世テキスト編集委員会専属研究員、ヘルシンキ大学歴史学科客員教授、ニュージーランド・オタゴ大学人文学部専任講師、准教授を経て、教授。
2013年、『ヨーロッパ政治思想の誕生』でサントリー学芸賞受賞。
【著書】
『反逆罪 -近代国家成立の裏面史- 』岩波新書、2024年
『愛国の起源 パトリオティズムはなぜ保守思想となったのか』ちくま新書、2022年
『従順さのどこがいけないのか』ちくまプリマー新書、2021年
『日本国民のための愛国の教科書』百万年書房、2019年
『愛国の構造』岩波書店、2019年
『言論抑圧 矢内原事件の構図』 中公新書、2014年
『ヨーロッパ政治思想の誕生』 名古屋大学出版会、2013
『Ockham and political discourse in the late Middle Ages』ケンブリッジ大学出版局、2007年
『政治診断学への招待』 講談社選書メチエ、2006年
『反「暴君」の思想史』 平凡社新書、2002年
【テキスト】
『従順さのどこがいけないのか』ちくまプリマー新書、2021年
※事前にご購入をお願いします。毎回、読んでおくべき場所をお伝えしますので、当該箇所を次回までに読んでおいてください。
【講義スケジュール】
※ 以下に記す日程と時間はリアルタイムで受講する場合の日時です。
※ アーカイブ会員は録画データを視聴して受講します。ので、以下の日程・時間に縛られるものではありません。
※ 講座までに当該映画を各自視聴しておいてください。
※ 課題映画には視聴可能な配信会社の提供する配信URLへのリンクを貼っています。視聴費用はご自分でご負担ください。
第1回 | 2月08日(土)10:00-12:00 セオドア・メルフィ監督「ドリーム」(原題: Hidden Figures) |
第2回 | 2月22日(土)10:00-12:00 デンゼル・ワシントン監督「グレート・ディベーター 栄光の教室」(原題:The Great Debaters) |
第3回 | 3月08日(土)10:00-12:00 ラース・クラウメ監督「僕たちは希望という名の列車に乗った」(原題:Das schweigende Klassenzimmer) |
第4回 | 3月22日(土)10:00-12:00 ウェイン・クラマー監督「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」(原題:Crossing Over) |
第5回 | 4月05日(土)10:00-12:00 マイケル・マン監督「インサイダー」(原題:The Insider) |
第6回 | 4月12日(土)10:00-12:00 ジェイ・ローチ監督「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(原題:Trumbo) |
第7回 | 4月26日(土)10:00-12:00 総括 |
※ 将基面貴巳教授はニュージーランド在住ですので、講義はすべてzoomで行われますが、最終日のみ、将基面教授が来日されているご予定ですので、教授のご予定が変更とならなければ、東京会場での対面講義となります。東京まで来られない方は、いつもどおりzoomでの受講、あるいはアーカイブ受講での受講が可能です。また、講義後、東京会場での受講者の希望者と将基面教授との食事会をしようと思っております。
【視聴可能配信サイト】
課題映画は、2025年1月15日の時点で以下のサイトで視聴が可能です。
視聴サイトによって金額など条件が異なりますので、ご自分で最適なサイトを調べてご視聴ください。
お近くの映画館で上映されている可能性もありますのでご自身でお調べください。
またDVD等をご購入して視聴されても問題ありません。
prime video | U-next | Rakuten TV | DMM TV | Disniy+ | Netflix | ||
第1回 | 「ドリーム」 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
第2回 | 「グレート・ディベーター」 | ○ | |||||
第3回 | 「僕たちは希望という名の列車に乗った」 | ○ | ○ | ○ | |||
第4回 | 「正義のゆくえ 」 | ○ | ○ | ||||
第5回 | 「インサイダー」 | ○ | ○ | ○ | |||
第6回 | 「トランボ 」 | ○ | ○ |
【いくつかある参加の形態について】
本講座には、3つの参加形態があります。
簡単に言えば、
・授業時間内で講師との議論に参加したい場合はMember参加
・Memberと講師の議論を見ることで受講したい場合はObserver参加
・自分のペースで学びたい場合はアーカイブ受講
をお勧めします。
Member参加、Observer参加、アーカイブ受講、それぞれの違いは具体的には次のようになっています。
Member参加 | Observer参加 | アーカイブ受講 | |
教室参加(4/26のみ) | ○ | × | × |
オンライン参加 | ○ | ○ | × |
アーカイブ視聴 | ○ | ○ | ○ |
リアルタイム質疑応答 | ○ | × | × |
創作提出 | 〇 | 〇 | × |
期間外参加 | × | × | 〇 |
参加費(一括払い) | 26,400円(税込) | 13,200円(税込) | 13,200円(税込) |
参加費(分割払い) | 02/06までに12,100円 03/06までに9,900円 04/04までに7,040円 | 02/06までに6,600円 03/06までに5,500円 04/04までに2,420円 | × |
お支払い方法 | 銀行口座振り込み | 銀行口座振り込み | 銀行口座振り込み |
【作品創作について】
・Member参加の方とObserver参加の方は、本講座で学んだことをもとに、作品を創作していただけます。創作ジャンルは、映画、演劇、ドラマ、小説、漫画など、何でも構いません。まずは、どんなテーマで何をどうしたいかを、希望をお聞かせください。
・作品創作を行いたい方は、クラスを受けながら、何を題材に、どうしようかということを考えておいてください。そして、迷ったことなどあれば、遠慮なくシバイバ事務局までご相談ください。また将基面教授にアドバイスが欲しい場合も、直接クラスなどで言うことなく、事務局経由でご相談ください。可能な範囲で将基面教授にご意見を伺います。
・最終授業が4/26に行なわれる予定ですが、それから1か月後の5/26を最終〆切にして、「創作企画提案書」をご提出ください。その「創作企画提案書」をもとに、それぞれの創作計画書を作り、その計画書通りに創作を進めていただきます。
・どのような形で作品にするのかは現時点では決められませんが、出来るだけ希望者全員の作品を完成させるべくサポートします。
・創作に関してのルールに関しては、次のページをご覧ください。 → 創作のルール
【守秘義務】
参加の形態にかかわらず、受講者には次の守秘義務がありますので、以下の守秘義務を了解した者だけが受講手続きを行ってください。
・講座の中で知り得た他の参加者の個人情報や講師、ゲストなどの個人情報を他言しないこと。
・講座の中で知り得た、他の参加者のアイディアについて、無断で利用しないこと。利用する場合には、事前に結んだ契約に基づいて、利用する旨を事務局を通して相手方に伝え了承を得、対価を支払うこと。
【お申し込み】
「映画は社会変革にどう貢献できるのか、将基面貴巳教授とともに考える講座」に参加希望の方は、次のボタンを押して、申し込みフォームよりお申し込みください。