2024年、作ってくれてありがとうな作品
この世の中には、解決すべき問題、すなわち「社会問題」が山積しています。
わたしたちシバイバは、その社会問題のひとつひとつを、漫画や小説、あるいは映画やドラマや演劇などの「シバイ」にすることによって、そういった社会問題が「存在すること」を知ってもらい、物語の視聴を通して「当事者」と同じ体験をしてもらうことで、その社会問題を「自分ごと」として感じてもらい、最終的には、その社会問題の解決のために行動する「当事者」となってもらうことを目指しています。
もちろん、漫画や小説を読んだり、ドラマや映画を視聴しながら、そんな理屈を考える必要はまったく無いと思います。純粋に物語を楽しんでもらえればいいと思います。
ただ、物語の威力がすごいのは事実で、漫画や小説を読んで感じたこと、ドラマや映画を見て感じたことが、ときに実際に経験して感じたことに匹敵する影響を与えるのも事実です。
だから、漫画や小説、あるいは映画やドラマや演劇などの「シバイ」は、そういう強い影響を与えるわけだから、「作る側」はそこを良く考えて、「間違えた情報を拡散しない」とか、「苦しんでいる人を更に苦しめるような表現はしない」とか、「むしろ苦しい人を助けることが出来る方向にみんなの思いをむけられるような物語を作る」とか、しなきゃいけないんじゃないかなと、わたしたちシバイバは思っています。
笑いや視聴率をとるために、「誰かを傷つけたり」、「誰かを馬鹿にしたり」、「誰かの権利を踏みつけにしたり」することはもうやめたほうがいいと思います。そういう作品を作るということは、笑いや視聴率のためには何をしてもいい、ということを人々に伝えるメッセージになるからです。
ということで、誕生2年目のシバイバは、これまでどおり、いま解決すべき「社会問題」について学ぶための講座もやっていきますが、すでに作られた作品についても「こんな素敵な作品、作ってくれてありがとう」なものがあれば、その素晴らしい作品を皆さんにお勧めして、広めていく、というようなこともやって行きたいなと思っています。
ちなみに、いま、わたしどもシバイバがお勧めする1番の「2024年、作ってくれてありがとう」な作品、それは迷うことなく第110本目のNHK連続テレビ小説「虎に翼」(脚本:吉田恵里香)です。
で、この作品の素晴らしさをどう表現しようかって迷っていたところ、新春にやっていた「あたらしいテレビ2025」で宇垣美里さんが「虎に翼」の素晴らしさを見事に表現されていましたので、その言葉をご紹介しようと思います。
「あたし見ててね、ずっと安心できたんですよ。なんかこう、どうしても見てて、ときどき、ん?ってなることってあるじゃないですか、エンタメを見ていて。「ここはあたしの価値観とちょっとあわないな」とか「古ない?」みたいなこと。ていうのが「虎に翼」は本当になくて。・・・あと、誰も置いてきぼりにしない。同性愛者であるとか、在日の人であるとか、色んな人のことを置いてきぼりにしない、居なかったことになっていた人のことを「居たの知ってる!」って言ってくれるような作品。・・・で、常にその物語の壁となる障壁が今につながっているものなので「これ、あたしもあった」とか「これってやっぱりおかしかったよね」とみんなで言えるし言いたくなる、なんかこう火が付くというか。・・・「虎に翼」を見て、こういうことが出来ると知ってしまったので、これから、わたしは、出来ない作品を見たときに、なぜ?って、たぶん思っちゃうと思うんですよね」
この宇垣さんのご意見を聞いたときに、的確に「虎に翼」が痛快であった理由が言語化されていて、「素晴らしい」とテレビの前で拍手をしてしまいました。「コンプラ守っていて面白い話が作れるか」というような昭和な意見を言う人もいるかもしれませんが、むしろコンプラが必要となる人間の加害性に目を向け、心から謝ることの重要性を教えてくれた「虎に翼」の功績は大きいと思いますし、これから作られるドラマや映画は、宇垣さんの言うように「虎に翼」と比較されることを覚悟しないといけません。まだご覧になっていない方はぜひとも「虎に翼」を、1話から全部、全130話、ぜひとも見て欲しい作品です。シバイバは「虎に翼」みたいな作品を生み出していきたいと思っています。みなさんも憲法14条を壁に貼りたくなると思います。
と言う感じで、良かったら、皆さんの2024年の作ってありがとうな作品を教えてもらえませんか?互いに良い作品を紹介し合って、良い作品を作ってくれた人に感謝を伝えるとともに、そういった「ありがとう」な作品が増えて行けばいいなとシバイバは思っています。