プロフィール

脚本家

梶原阿貴
(かじわら あき)

登壇日程

6/30 16:30-18:30 team D公演

※公演後に3本の作品を見てのご感想や日本の社会派エンターテイメントの在り方などをお話しするトークショーにご登壇いただきます。

梶原阿貴さんの脚本で作られた2022年公開の高橋伴明監督作品「夜明けまでバス停で」は、コロナ禍の女性の貧困を描いた映画として、第96回キネマ旬報ベストテンでは日本映画第3位となり、また梶原さんご自身も脚本賞を受賞されました。しかし、「コロナ禍の女性の貧困」という言葉では表し得ない沢山の思いの込められた映画でした。一番感じたのは女性が支え合い連帯していること。日本社会の中で理不尽な立場に置かれ続けている仲間たちを励まし希望と矜持を持って生きていこうとする女性たちの姿が描かれていました。実際の事件は悲惨なもので、当時こんな悲惨なことをよく映画にするなと思いましたが、こんなことだからこそ映画にしなくてはいけない。誰かに知っておいてもらって、二度とこのようなことが起こらないようにしてほしい、そして失った命がいかに尊いものであり愛おしいものであったのかを観客に伝えなければならない、そういう思いで作られた素晴らしい映画でした。私どもは、社会問題を学んでその改善のためになる作品を作っていくシバイバという場所を作っており、今回の短編演劇祭は、その勉強の成果の発表会ですが、シバイバが見習うべき実践をしている人が梶原阿貴さんだと思っています、ので、梶原さんが我々のチャレンジをどうご覧になるのかご意見を聞くのは嬉しいような怖いような感じでありますが、これから我々がより研ぎ澄まされたチャレンジをしていくためにも重要なトークショーとなると思いますので、みなさま心して会場にいらしてください。ちなみに、映画「夜明けまでバス停で」を見ながら、この女性たちの連帯を温かく見つめる目線が、登場しないもう一人の女性の目線だなと思いながら見ていたのですが、それが梶原阿貴さんの目線だったのだなというのがよくわかる記事を発見しました。「自己責任という言葉なくなればいい 脚本家・梶原阿貴さんが思う理由」という2023年5月の朝日新聞デジタルの記事です。梶原さんはこの映画のもとになった実際の事件、バス停で寝ていた女性を男が撲殺した事件の実際に現場の近くに住まれていたそうです。「現場は、事件の2年前まで私が利用していたバス停でした。だから、彼女がなぜあそこに座っていたのか、分かる気がしました。すぐそばに公園があってトイレと水道があり、夜中でも真っ暗にはならないバス停だったからです。事件を知って、自分には彼女を救うことができなかった、なぜ何もできなかったのだろう、という自責の念が湧いてきました。」「どうして彼女を救うことが出来なかったんだろう」まさに映画はその思いに貫かれていました。そんな思いで映画を作られている梶原阿貴さんに今回の私どもチャレンジを見ていただけることは本当に身の引き締まる思いです。

梶原阿貴(かじわらあき)東京都出身。
日本シナリオ作家協会理事。日本映画大学非常勤講師。映画「櫻の園(90)中原俊監督」のオーディションを受け、怖い上級生役で俳優デビュー。劇団第七病棟、現代制作舎に所属。主な映画出演作品に「青春デンデケデケデケ(92)大林宜彦監督」「M/OTHER(99)諏訪敦彦監督」「のんきな姉さん(04)七里圭監督」「ふがいない僕は空を見た(12)タナダユキ監督」などがある。2007年「名探偵コナン」で脚本家デビュー。その後、アニメ、テレビドラマを経て、映画「WALKINGMAN(19)ANARCHY監督」で脚本、監督補を務める。
2022年映画「夜明けまでバス停で」(高橋伴明監督)で数々の賞を受賞。
第96回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画脚本賞
おおさかシネマフェスティバル2023 脚本賞
第77回毎日映画コンクール 日本映画優秀賞・脚本賞ノミネートなど

その他のゲストプロフィール

その他の公演日程