稲垣諭東洋大学教授からのメッセージ

あなたには、忘れられない記憶となっている映画やドラマ、演劇はありますか? もしあるとすれば、それらは確実にあなたを構成する細胞の一部になっています。どんな作品を体験してきたかが、その人の人格、思考、行動に決定的な影響を与えてしまうことがあるのです。

これは考えてみると、空恐ろしいことでもあります。作り手が生み出す作品が、消費されるコンテンツであることを超えて、見知らぬ場所で、見知らぬ他者の声となって、ときに感動を与え、ときに多彩な感情を追体験させ、作品の内面化を人々に促してしまうからです。

では、来るべき世界で暮らす人々が、希望をもって生きていくためには、どんな作品が生み出されるのがよいでしょうか。どんな作品が、明日を生きる力につながるのでしょうか。創作家はいつでも、その視点から物語を紡いでほしいと僕は思っています。

そのためには、あらためて自分の周囲にいる他者を理解することから、他者が生きる世界に近づくことから始めなければなりません。

シバイバの人たちは、本気で創作の現場を変えたいと思っています。僕もその本気にうたれ、少しでもお手伝いできればと思いました。

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