シバイバは、解決すべき社会問題を専門家からちゃんと学んで、問題の構造と本質を理解し、問題の解決のために越えねばならないハードルと対立軸を理解し、いま誰がどのように苦しみ、誰がどのようにその人を救おうとしているのかを知り、視聴率の為や興行収入の為ではなく、その社会問題に関する真の理解と本当の解決が実現するような、その後押しをできるような映画、演劇、ドラマ、漫画、アニメ、小説、ゲームなどエンターテイメント作品を作れる人たちを育てていきたいと思っています。
シバイバは、2024年2月から始動し、三浦まり教授による「さらば、男性政治」を学ぶ講座、将基面貴巳教授による「従順さのどこがいけないのか」を学ぶ講座、稲垣諭教授による「「くぐり抜け」の哲学」を学ぶ講座、小説家大前粟生さんによる創作実践講座という4つの講座を開催し、講座を受講した方々から、講座で学んだことをもとにした社会派エンターテイメント作品を募ったところ49作品もの企画が提出され、これを互選により選考し18作品に絞り、それぞれを20分の短編演劇にして、6/25-30の6日間、築地本願寺ブディストホールにて披露させていただきました。
学んで書くという試みははじめてでしたし、時間も予算も限られていましたし、そもそも脚本を書くのも演出をするのも初めての方が半数でしたので、手放しに全部が大傑作と言うつもりはありませんが、主催するシバイバ的には、こんなにも沢山ちゃんと学んで作品を作り、世界を少しでも良くしたいと志を持っている方々が居られることを知ったのは、とても嬉しいことでした。この演劇祭をSEEDと名付けたのですが、まさに世界を良くする作品の種子たちを手に入れることが出来たと思っています。
そのうえで、これからは、シバイバの根幹である「描くべき社会問題についてちゃんと学ぶ」ということを引き続き行いながら、その学んだことを、より面白いエンターテイメントとして表現していく、ということについても学ぶ講座を開設していきたいなと思っています。
ということで、第二期では、まず依存症とインタベンショニストについて学びます。依存症はアルコールや薬物などの摂取や、ギャンブルなどの行動を止められなくなってしまうコントロール障害ですが、病気なのに、見かけ、根性や気合で何とかで止められるものと見えてしまうために、根本的治療を行うのが遅くなったり、家族で何とかしようとしているうちにドンドン本人の状態や人間関係などが悪化していって、本人のみならず家族や友人を含めた皆が泥沼の地獄にはまってしまう病気です。
事態を悪化させないように依存症とは何かの理解を広めることが重要です。そしてそれと同時に目の前にいる泥沼の地獄にはまってしまった依存症者とその家族を助けることも重要です。それをするのがインタベンショニストです。
本講座では、ご本人がインタベンショニストでもあるギャンブル依存症問題を考える会の代表理事である田中紀子さんをメイン講師として、依存症をめぐる問題を多角的にみるとともに、依存症者と家族を救うインタベンショニストの活動について学びます。
そして、第一期でも好評だった、ニュージーランド・オタゴ大学の将基面貴巳教授による「名作映画をみて、その映画で描かれている政治哲学的課題をみんなで議論する講座」も引き続き開催します。
創作を目指す方には、政治哲学的な小難しいことをハートに訴える物語として描くにあたってどのような工夫をすればよいのか分かるとともに、映画を見たあとに感想を言い合って楽しもうとしても「面白かったね」「ほんとうに面白かったね」で話が止まってしまうことにご不満の方には、この講座で将基面教授や参加者みんなと映画についていろいろ討議するうちに、自分が面白いと思ったのはこういうことか、あるいは自分が引っかかったのはこういう描き方をされてたからなんだ、などと明確にわかるようになります。
このように、シバイバは、第二期でも楽しみながら学び、楽しみながら作り、楽しみながら社会をより良くすることが出来る場所です。そうありたいと思っています。依存症のクラス、映画を見て語らうクラス、それ以外にもどんどんいろいろな講座を開催していく予定です。ぜひとも期待していてください。