※ 本講座は既に終了しています。
上智大学法学部の三浦まり教授は、2023年1月に発売されたご著書『さらば、男性政治』(岩波新書)で、国民の半数を占める女性の意見が通りにくい政治の現状を「男性政治」という観点から明らかにし、そのような現状が訂正されないことが、女性やマイノリティの権利や生活を困難に追いやっている可能性があることを論理的に示しました。
「男性政治」とは「男性だけで営まれ、男性だけが迎え入れられ、それを当然だと感じ、たまに女性の参入が認められても対等には扱われない政治」のことを言います。
日本をジェンダー平等後進国に押しとどめている最大の原因は、もはや見慣れた景色となってしまったこの「男性政治」にあるように思います。
さらに「男性政治」は、ジェンダー平等に反するだけではなく、「家父長制的慣習」や「性別役割による歪み」「ミソジニー(女性蔑視)」などと組み合わさることで、「ケア労働の軽視」や「育児・出産・教育政策の遅れ」など、現代必要とされている諸政策の停滞という、現実的な問題にも結びついているように思います。
三浦まり教授のご著書『さらば、男性政治』(岩波新書)は、現在の「男性化してしまっている政治」の権力構造を打破し、日本という国を本当の意味で誰もが生きやすい社会にしていくための、まさに道しるべとなるようなテキストです。
本講座の「メイン・ゼミ」においては、参加者は、三浦まり教授ご自身の導きを受けながら、メイン・テキストとなる『さらば、男性政治』(岩波新書)を読解し、なぜ「男性政治」を変革する必要があるのか、また「男性政治」を変革すること=「女性政治家を増やすこと」が日本に何をもたらすのか、またその変革の過程においてどのような抵抗が誰からあるのかというようなことを、諸外国の経験などから理論的に学びます。
また、不定期に行われる本講座の「サブ・ゼミ」においては「パリテ・アカデミー」の事務局長である西川有理子さんとともに、国会傍聴や地方議会の傍聴、女性議員たちの事務所訪問などを行い、「男性政治」と戦う人たちの実際の姿を学ぼうと考えています。ちなみに「パリテ・アカデミー」は、三浦まり教授とお茶の水大学ジェンダー研究所の申きよん教授が共同代表をしている一般社団法人で、「女性議員を増やすためのトレーニング」などを政治家を目指す女性たちに提供しており、すでに何人もの女性議員を輩出している素晴らしい団体です。
以上のように、今回講座の参加者には「メイン・ゼミ」と「サブ・ゼミ」で、「男性政治」をめぐる理論と実際を押さえてもらいます。そして、押さえていただいた後に、希望者には「「男性政治」に終わりを告げるための物語」をつくっていただこうと思っています。
「「男性政治」に終わりを告げるための物語」とは、たとえば「これから登場するであろう女性首相の物語」であったり、たとえば「地方都市において首長となった女性が議会に巣くう男性政治家たちと戦いあるいは協調しながら理想的な町を形作っていく物語」であったり、様々な物が考えられると思いますが、そのような、実際の「男性政治」が引き起こす問題を示し、その解決に取り組んでいく人たちの奮闘する姿を共感を持って視聴いただけるような物語を作ることによって、行動する人々が生まれ、この国をより良い国にする流れが生まれ、果ては、ジェンダー平等で、どんな人をも排除せず、互いの違いを尊重し、女性の尊厳も守られて、どのような暴力も許さない社会を実現していくこと。それが本講座の最終的な目的地です。もちろん、物語作りを目的にしない、まずは勉強!な方々も大歓迎です!!!
本講座とシバイバの試みについて、三浦まり教授から、メッセージをもらっています。
メッセージはこちら
・いまだに日本が男性中心社会であることに憤っている人
・政治や経済などにおけるジェンダー平等が早く達成すればいいと思っている人
・女性であることが不利になる日本社会にイラ立っている人
・そのような社会にありながら、頑張ってる女性たちとともに闘いたいと思っている人
・映画や演劇やドラマ、小説、漫画、歌などの力を信じている人
・映画やドラマ、小説や漫画を通じで、今までの社会通念に一石を投じたい人
・良き世界にしたいと思っている人
・あらゆる人間の人権を擁護する立場につくこと。
・どのような人も、ハラスメントをする側にも、される側にもなる可能性があります。自分の行動や言動が相手に不快な思いをさせる可能性があります。そのことを承知し、自らの行動や言動が他人を不快にさせていないかに関して注意深くあること。
・本講座は日本語で行われます。日本語を聞き取り、日本語を話し、日本語でコミュニケーションをとる能力を持っていること。
・他人を自分と同じひとりの人間と認め、その個性とアイディアを尊重すること。
・他人のアイディアを盗まないこと。他人のアイディアを利用する場合は本人もしくはしかるべき相手の了解を得ること。また了解を得たことを作品などに明記すること。
・経験や年齢、ジェンダー、国籍は問いません。
・参加希望者が未成年であった場合、保護者の了承が必要です。
・暴力団員、暴力団準構成員、これらと密接な関係を有する者、その他の反社会的勢力でないこと。
・今回、「希望者」には、短編演劇の企画を提出し、短編シナリオを書いてもらうことになりますが、企画書やシナリオ執筆の経験や企画書やシナリオの書き方を知っている必要はありません。
・本講座は、解散総選挙など政治日程の都合により延期の可能性がありますことをご了承ください。その場合、返金などの対応はさせていただきます。
・本講座の受講を希望される方は、必ず以下の規約をご確認ください。受講手続きを行うことをもって、本規約に同意したものとみなします。
シバイバ講座利用規約講座申込はこちら
※ 上記テキストは各自、事前に購入し、当該箇所を読んでおいてください。
【略歴】
1967年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業。カルフォルニア大学バークレー校大学院修了。Ph.D.(政治学) 2021年、フランス政府より国家功労勲章シュバリエ受章。 専攻は現代日本政治論、ジェンダーと政治 現在、上智大学法学部教授
【著書】
『政治って、面白い!―女性政治家24人が語る仕事のリアル』(花伝社、2023年)
『さらば、男性政治』(岩波新書、2023年、石橋湛山賞、平塚らいてう賞)
『女性の参画が政治を変える―候補者均等法の活かし方』(信山社出版、2020年)
『生きづらさに立ち向かう』(岩波書店、2019年)
『社会への投資―〈個人〉を支える 〈つながり〉を築く』(岩波書店、2018年)
『日本の女性議員 どうすれば増えるのか』 (朝日新聞出版、2016年)
『私たちの声を議会へ―代表制民主主義の再生』(岩波現代全書、2015年)
『ジェンダー・クオータ―世界の女性議員はなぜ増えたのか』 (明石書店、2014年)
『流動期の日本政治』(東京大学出版会、2002年)
など多数
第1回 2月15日(木) 16:00-18:00 『さらば、男性政治』1、2章
第2回 3月4日(月) 16:00-18:00 『さらば、男性政治』3章
第3回 3月22日(金) 16:00-18:00 『さらば、男性政治』4章
第4回 4月15日(月) 18:00-20:00 『さらば、男性政治』5章
第5回 5月13日(月) 18:00-20:00 『さらば、男性政治』6章
第6回 5月28日(火) 18:00-20:00 『さらば、男性政治』7章
・本講座を通して作品創作を希望される受講者の方には、事務局が指定する期日までに企画書を提出していただき、その後、最終的には短編シナリオを完成していただきます。優秀シナリオについては、事務局の指定した演出家か、あるいはご自身で演出していただき、短編演劇として、6/25から6/30までの6日間、他の講座や他の参加者の作った作品とともに、築地本願寺ブディストホールにて披露していただきます。この短編演劇祭では、作品の内容にちなんだ著名ゲストをお呼びし、観客投票により最優秀作品を1つ選びます。賞金は50万円です。
・本講座を通して出来上がった短編シナリオは、これから開発する新しい映画やドラマなどの火種となるものです。最優秀作品賞を受賞した作品はもちろん、それ以外の上演作品、また上演には至らなかった作品なども、講座終了後も、「希望者」には、事務局および講師は、映画化やドラマ化、あるいは小説化や漫画化やゲーム化に向けて、企画開発および営業の手助けを継続的にさせていただきます。
・「サブ・ゼミ」は実際の政治日程などと連動しているために現時点で日時と場所を公表することが出来ません。MEMBERには、なるべく早めに日程や時間などお教えしたいと思っています。また、参加するかどうかは各自の自由ですが、作品を書くうえで、議会のリアリティや、議員たちの個性などを知っておくことは有益かと思います。
・「サブ・ゼミ」の参加費は、1回の開催につき3,300円<税込み>となります。
開催が決定しましたら事務局より都度MEMBERにお知らせをしますので、参加希望者のみ、参加費をお振込みいただきます。
・初回講座の申し込み締め切りは、2月14日18:00です。ただし、定員になり次第打ち切ります。
・OBSERVERとして本講座を聴講をすることによって知り得たアイデアをご自分の作品(プロデュース作品、演出作品、執筆作品、企画作品など全て)で利用したい場合は、必ず、シバイバ事務局を通して、講師及びMEMBER(対面講座での受講者)の事前承諾を得る必要があります。申し込みを行った時点で、このことを了承しているとみなします。
・OBSERVERの方は、サブ・ゼミには参加できません。
・授業内容のことでご質問がありましたら、事務局宛にメールでお送りください。全てのご質問にお答え出来るかわかりませんが、お答え出来るものにつきましては、授業内でお答えさせていただきます。
・初回講座の申し込み締め切りは、2月14日18:00です。